大成功する人と大失敗する人を分ける「些細な考え方の違い」
四季報の達人がダイヤモンドに降臨!複眼経済塾の渡部清二塾長 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部
採用面接は人柄まで見るのに、投資では数字だけ参考にするのはナンセンス。そう語るのは、「四季報の達人」の異名を持つ複眼経済塾代表の渡部清二さん。10倍株や100倍株を見つけるためには、定量の情報に加えて定性の情報が重要になると言います。定性の情報とは一体何か。どうやってそれらを見つけるのか。考え方と具体的な手法について教えてくれました。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部 松本幸太朗)
「まず街に出てドーナッツを買え」
伝説の投資家は定性情報を重視
ROEが◯倍以上なら買うべき。最近こうした定量的な指標で銘柄を選んでいる人が増えていると感じています。私自身も「四季報」で銘柄を選ぶ際に、こうした定量情報によって銘柄をスクリーニングしています。しかし、本当に有望な銘柄を選ぶとき、定量情報だけでは足りません。
これは皆さんの普段の仕事を思い返していただくとすぐにわかるはずです。例えば、採用面接のとき定量だけで人材を判断することはないでしょう。面接をして定性的な情報も加味して判断しているはずです。営業先から帰ってきて上司に結果を報告するとき、表情や仕草といった非言語の情報から相手の感触を判断して報告しているはずです。このように、人間の営みとしてのビジネスは定性的な情報が非常に重要であるということに異論はないでしょう。しかし、投資の話になると、なぜか定量的な判断ばかりが重視され、ビジネスで重宝される定性的な情報というのが加味されなくなってしまうのは不自然です。
かの有名な米国の投資家、ピーター・リンチは著書『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド社)の中で、「町に行ってドーナツを食べることが株式の基礎的調査の第一歩になる」と記しています。企業の業績といった定量情報ではなく、好き嫌いや実体験に基づく定性情報を足がかりにせよという教えは示唆に富んでいます。
最近では、オンライン上でさまざまな情報が手に入るようになったことで、多くの人が手軽に大量の情報にアクセスできるようになりました。特に定量的な情報については、スクリーニング機能なども充実してきたので、いち早く目的の情報にアクセスすることができます。 しかし、 Web 上で誰もが アクセスできる情報は枝葉の情報が多く、 かえって本当に有益な情報を見つけることが難しくなっています。
そもそも、ここまで定量的な情報が重視されるようになったのは、金融工学という学問が生まれ、 機関投資家が数字を使って自分たちの説明に納得させるために使い始めたことがきっかけだと考えています。金融工学を使ってたくさん儲けている人たちを知っていますが、同時にそれらがあまり意味をなさないことも知っています。金利が◯%上がる、下がるというレポートが非常に高い金額で売れるのです。定性情報が入ってきては困る世界に住む人たちが少なからずいます。彼らに踊らされて、定量情報だけで銘柄を決めようとすると個人は負けてしまいます。アクセスできるデータなどが根本から違うからです。
したがって、個人投資家は定性情報を重視して銘柄を選ぶことで、機関投資家たちとは違う土俵で戦うことが必要となります。 ここからは 機関投資家に振り回されずに、有望な銘柄を選び出すために必要な考え方を紹介していきます。
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